2024年12月26日
プロジェクト紹介
新たなパークライフスタイルを。都立公園初のPark-PFI事業「都立明治公園」
2024年1月、国立競技場の前庭空間に「都立明治公園」が全体開園しました。都立公園として初めて「Park-PFI(公募設置管理制度)」を活用した本事業。世界に誇れる、東京という都市の“レガシー”となることを目指した公園づくりについてご紹介します。
新たな「体験価値」を提供する公園整備事業
東京建物グループは様々な都市開発や施設開発を手掛ける中で、単に建築物を生み出すだけではなく、その空間が利用者や地域の方々に提供する体験に着目してきました。開発プロジェクトは多様化し、提供する「体験価値」の領域も広がっていきました。そんな中、新たな体験価値の提供が可能と考え、事業検討を進めていたのが公園整備事業でした。
近年、日本には新しいかたちの公園が増えてきました。民間のノウハウを活かして公園の魅力と利便性を高めていくことを目的に、都市公園法に基づき公園整備を行う事業者を公募し選定する「Park-PFI(公募設置管理制度)」が活用されています。都心部においても、Park-PFIを活用した公園が生まれ、にぎわいを創出しています。
「Park-PFI(公募設置管理制度)」とは
Park-PFIは、都市公園の魅力と利便性の向上を図ることを目的に、2017年の都市公園法改正により設けられた制度で、都市公園における民間資金を活用した新たな整備・管理手法です。
カフェやショップなど公園利用者の利便に資する施設を設置し、その施設から得られる収益を活用して公園施設の整備・改修等を行う事業者を、公募により選定します。
東京の“レガシー”となる公園を目指した計画提案
2021年、東京都が都立公園として初となるPark-PFIを活用した公園整備事業の事業者公募を発表しました。その整備事業の対象のひとつが、都立明治公園でした。
東京建物は、三井物産、日本工営都市空間、西武造園、読売広告社、日テレ アックスオンの5社とコンソーシアムを組成。その代表を務め、東京都に計画提案を行いました。提案した事業コンセプトは、「TOKYO LEGACY PARKs/世界に誇れる、東京という都市の“レガシー”となる公園を創り、責任を持って持続的に運営、希望と誇りと共に次世代へ継承」です。「Park“s”」と複数形になっているのは、このような都立公園が、これから東京に増えていくことへの期待を込めたものです。公募要件の倍以上の面積を有する樹林地の整備や回遊性のある動線計画、地域との連携のほか集客・にぎわい創出につながるイベントコンテンツなどのプランが評価され、当コンソーシアムが事業者に選定されました。
本事業の推進にあたっては、5つのフィロソフィーを定めた上で、これらの考えを大切にしながら、自然と人が共存できるサステナブルな公園づくりを目指しました。
- ・Diversity & Inclusion(多様性・包括性)
- ・Green & Ecology(緑・環境)
- ・Social Partnership(地域社会との持続的関係)
- ・Ethical Mind-Set(エシカル思想)
- ・Wellness & Well-being(心身の健康・幸福)
3つの広場と約7,500㎡の樹林地、個性豊かな店舗が創出するやすらぎとにぎわい
公園の面積は約16,000m2。国立競技場と同じ天然芝が広がる「希望の広場」を中心に、ステップベンチが配置され渋谷川をオマージュした水景が涼しげな「みち広場」、多様性・包括性をテーマに誰もが気軽に集える空間を目指し遊具の柔軟な入れ替えが可能な「インクルーシブ広場」と、約7,500m2の樹林地「誇りの杜」を整備しました。「誇りの杜」は長期的な樹林地の発展を見据えており、約700本の樹木は落葉樹を中心に選定し、低木や地被植物などの成長を促します。あえて完成させずにハーフメイドなつくりとし、都民の皆さんとともに時間をかけて育てていく「100年の杜」を目指します。
そして公園内には、個性豊かな6つの店舗が入居する5棟の建物を配置。店舗棟は分棟配置とすることで、事業期間終了時に建物を撤去した後も公園内に大きな空白地が生じないよう配慮しており、公園が持続的に機能する計画としています。店舗は幅広いニーズに応える多彩な飲食店のほか、グッズや遊具のレンタルサービスも行い遊びの拠点となる新業態のアウトドアアクティビティショップなどが出店。
さらに特徴的なのは、都市型スパ施設「TOTOPA都立明治公園店」です。「TOTOPA」は、東京建物グループがスーパー銭湯「おふろの王様」を運営し培ってきたノウハウを生かし、新たに展開する都市型スパの新ブランドです。その第一号店となる同店は、女性用フロアにて薬草スチームに包まれながら乾燥による肌や髪へのダメージを抑制し、デトックスができる蒸し湯体験を提供。サウナや水風呂、お風呂も完備しています。男性用フロアには3つのユニークなサウナ空間、水深約160cmの水風呂を含む2種類の水風呂、外気浴を中心とした3つの休憩スペースを完備し、18通りの「ととのい」体験を実現。両フロアに共通して、ランニングステーションやミニマルなフィットネス空間を設けており、運動×リラクゼーションによるウェルビーイングな体験を提供しています。
人々の誇りや愛着とともに育っていく公園を目指して
都立明治公園は、多世代の人々が自分らしく遊び、憩う心地よい居場所であるとともに、常に新しい楽しみと出会うことができる「きっかけ」のある公園です。様々なイベントが開催され、自然の中で多様な文化に触れあい、地域の交流も生まれています。そんな訪れるたびにワクワクし、何度でも来たくなる公園であるために注力しているのが公園のDX化(デジタル技術の導入)です。スマートポールを導入し、内蔵のAI Beaconなどを活用することで、来園者の属性や滞在時間、リピート状況などを分析しています。分析結果をイベント計画や混雑時の警備対応などに反映することで、魅力的な場づくりや安全・安心で円滑な公園運営が可能となっています。
都立公園初のPark-PFI事業として、都立明治公園は人々の誇りや愛着を生み、ともに育っていく場であることを目指しています。そのために、5つのフィロソフィーの考えをもとに常に変化し、成長し続け、新たなパークライフスタイルを提供していきます。