トップコミットメント Management's Commitment

信頼と実績を堅固な基盤に
ステークホルダーのニーズに応え
名実ともにサステナブルな会社であり続ける

東京建物株式会社
代表取締役 社長執行役員

野村 均

信頼と実績を堅固な基盤にステークホルダーのニーズに応え名実ともにサステナブルな会社であり続ける

東京建物株式会社 代表取締役 社長執行役員

野村 均

2023年は新型コロナウイルス感染症が5類となり、経済活動が急速に回復してくる一方で、ロシア・ウクライナや中東情勢などの社会不安の継続、エネルギー危機や物価上昇など、私たちの生活に大きな影響を受ける1年となりました。またコロナ禍を経て、人々の価値観も変化し、ライフスタイルや働き方が多様化した一方で、オフィスでのリアルなコミュニケーションは改めて重視されています。このような時代において、不動産業界が果たすべき役割は大きいと感じています。

サステナビリティへの取り組みを一段引き上げた2023年

2023年はコロナ後初めて、海外の投資家を直接訪問し、面談しました。10月に当社グループのGHG排出削減目標を1.5℃水準へ引き上げたことに対する注目度は高く、レベルを上げた目標設定や取り組みに、欧州での面談では評価の言葉もいただきました。

2023年度は環境面において、GHG排出削減目標を引き上げたほか、当社が事業を通じて取り組むべきZEB・ZEHの開発推進についても、2030年度までにとしていた目標年限を撤廃し、原則として今後は新築するすべてのオフィスビル、物流施設、分譲マンション、賃貸マンションで ZEB・ZEHを開発することとしました。また当社のビル事業において保有する不動産での再生可能エネルギーの導入目標を20年前倒しするなど、マテリアリティの一つである「脱炭素社会の推進」に係るすべての目標について強化・前倒しをしました。これは、気候変動に対する社会的要請の高まりを受けて単に目標を引き上げたということではなく、実際に社内の各事業において、当社の従業員が環境課題に対して前向きに取り組む姿勢を、目標として体現したものです。また、当社が事業において排出しているCO2量や、省エネや再生可能エネルギーの導入等の効果を可視化するインターナル・カーボン・プライシングを社内制度として導入し、日本において将来導入が検討されているカーボンプライシング制度による追加コストを予測し、備えるとともに、従業員のさらなる環境意識向上への啓発にもつなげています。

社会面では、人権の尊重や労働安全衛生の確保、腐敗防止、環境保全等に配慮したサステナブルな調達の実現に向け、2021年に制定した「サステナブル調達基準」の趣旨・内容の理解を促進するために「サステナブル調達基準ガイドライン」を策定しました。当社グループでは、お取引先様と一丸となって持続可能なサプライチェーンを構築していくことが不可欠と考え、ガイドラインを通して、持続可能なサプライチェーン構築の実効力強化を企図しています。

ステークホルダーと一体となって進めるまちづくり

当社グループは、長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」を掲げています。私たちは「デベロッパー」という言葉に、単に不動産を開発する(ハード)ということだけではなく、当社グループが手掛ける様々なお客様へのサービスの提供(ソフト)を通じて、コミュニティをより豊かに発展させていくということであり、グループの力を結集し、まちづくりをハードとソフトの両面からデベロップ(進展)させる存在になる、という決意を込めています。

2024年は元旦から能登半島地震に見舞われました。日本は地震が多く、昨今の気候変動による自然災害の頻発・激甚化を考えると、まちづくりを通じて社会課題を解決していくために、防災の観点を持つことは当然であり、非常に重要なことと思っています。

当社は東京駅の東側駅前に立地する八重洲・日本橋・京橋(八日京)エリアにおいて、権利者の方々や地域の皆様とともに複数の再開発事業を推進しています。再開発エリアのなかには築年数の経過した建物も少なくありません。再開発事業によってエリアおよび建物自体の機能更新を図るとともに、防災備蓄倉庫の整備や帰宅困難者の受入スペースの確保など、まちの防災対応力の強化にも寄与していきます。

また、日本のまちづくりのコンセプトの一つであるウォーカブルの推進にも積極的に取り組んでいます。東京駅の駅前で推進している八重洲プロジェクトは、JRや地下鉄の鉄道利用や、空港へのアクセスなど、交通の結節点という立地特性を有しています。当社はこの事業において東京駅と国際空港や地方都市を結ぶ大規模バスターミナルや、東京駅と周辺市街地を結ぶ地上・地下の歩行者ネットワークを整備します。

日本橋が架かる日本橋川上空は、首都高速道路が走っており、この首都高は地下化が計画されています。当社が日本橋川沿いで推進している呉服橋プロジェクトは、首都高に隣接しており、当社は、この首都高の地下化の実現に向け各種協力を行うとともに、日本橋川の交流拠点の象徴となる水辺空間の整備や東京駅・日本橋駅・大手町駅を結ぶ歩行者ネットワークの整備を計画しています。

これらの取り組みはエリアを訪れ利用する人にとっての利便性を向上させ、国際都市・東京の陸の玄関口に相応しい高度な都市機能の集積につながる意義のあるまちづくりであると考えています。

大規模再開発事業や建替事業では、再開発エリアにおける多くの関係者がいろいろな権利形態で関わりあっています。地権者の皆様、行政や設計・工事関係者といった多くのステークホルダーの皆様と話し合い、調整し、推進していくことになりますが、合意形成は容易ではありません。これまで地権者の皆様が大切にしてきた文化や価値観を理解し、不安や懸念に真摯に寄り添い、心から信用していただき安心感をもって、我々と一緒にやりたいと思っていただけるか、それは当社が創業以来培ってきたデベロッパーとしてのノウハウや経験値、企業としての信頼度が問われます。まちづくりとはそのすべての関係者を調整し、推進していくことなのだとも思います。

まちづくりは、ただ建物が竣工して終わりということではなく、竣工後も長い時間かけて推進する事業です。それぞれのまちが独立して存在しているのではなく、街区を超えたエリア全体、さらに周辺地域とも連携し、地域全体として価値や魅力を高めていくといった協働し続けていく性質のものであり、再開発事業への着手から竣工後も、長く関係者と意思疎通を図りながら推進し続けるものだと思っています。

デベロッパーとして活躍する人材の在り方

デベロッパーとして関係者の皆様との信頼関係を構築していくには、個人の「人間力」が不可欠であり、この人間力こそが当社にとって一番の強みであると信じています。人間力には人から好かれる能力「ライカビリティ」の要素が含まれます。社員一人ひとりが、「この人と一緒に仕事をしたい」とか、「あの人に相談したい」と思ってもらえるライカビリティを備え、それが集積体となったとき会社としての力はとても強いと思っています。当社グループの場合、社員一人ひとりの人間力やライカビリティがステークホルダーの皆様と真摯に向き合う姿勢に現れ、企業としての信頼性や実績につながっていると感じています。

人間力やライカビリティは、ある程度先天的なものであるかもしれませんが、人間性の豊かな人やライカビリティが高い人が集まる環境で仕事をし続けることで、後天的に身につくこともあると思います。当社グループが今後もサステナブルな企業であり続けるためには、この社風とも言える、当社グループの根底にある部分は変えたくないと思っていますし、大切にしていきたいと思っています。その上で、キャリア採用にも力を入れていますので、異なる会社で経験を積み、多様な知見を持った方々が当社の一員になり、よい変化を与えてくれることを期待しています。

今後もサステナブルな企業であり続けるために

2024年は中期経営計画(2020−2024年度)の最終年度を迎えます。この先重視する課題としては、具体的に気候変動への対応を推進していくことであると考えています。脱炭素社会の実現は、グローバルでの解決が求められる最も重要な社会課題の一つで、この解決に向けた国の目標や企業の目標は野心的であるがゆえに、個社での取り組みだけでは限界があり、相当の技術革新などが必要とも言われています。昨今の人手不足やエネルギー問題等による建築費の高騰などの影響を受けると、例えば木造建築などの環境施策については、コスト倒れになってしまうこともあり、なかなか思うようには進まないこともあります。これには世の中全体で意識を高め、ビジネスとして成立させ、当社としても解決に向けて少しでも前に進んでいく努力をしなければならないと考えています。

また女性活躍推進についても、今後進めていかなければならない課題の一つと認識をしています。新卒については採用も進み、新入社員の半分は女性という状況にはなっているものの、不動産業界は、元々男性社会の色が強い業界でもあり、管理職に女性従業員が少なく、女性の登用が進んでいない現状があります。社外取締役の方々からのご意見も参考に、意識して取り組んでいきたいと考えています。

ステークホルダーの皆様へ

今年、当社は創業128周年を迎えます。この数字は当社グループがこれまで社会に必要とされてきたことの証しであるとも思っています。

長期ビジョンにおいて、すべてのステークホルダーにとって「いい会社」を目指すと宣言しています。これはすべてのステークホルダーにとって、"同時に"、"常に"ベストな会社ということではなく、中長期的に企業価値を向上していくことで、すべてのステークホルダーから「いい会社」であると評価していただけるのではないかとの思いです。

ステークホルダーの皆様からより一層の信頼を得られる企業を目指し、「社会課題の解決」と「企業としての成長」をもう一段高いレベルで推進して参ります。今後とも当社グループへのご理解と一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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