2016年12月01日

サステナビリティレポート 特集

まちの一員として参加する東京建物のまちづくり活動

東京・八重洲に本社を構え、この地域で多くのビルを保有・管理する東京建物は、地域伝統の祭りである「山王祭」にまちの一員として参加しています。“まち”の魅力を知り、“まち”の魅力を高める、そのためにさまざまな取組みを行うことが、東京建物のまちづくり活動です。

企業としての取り組みサステナビリティ

都市における文化の継承

日本では、戦後の急速な都市化により、人々の住まいは郊外へと移転し、都心部は仕事や買い物などをする場所へと変わってきました。東京もその例外ではなく、都心である八重洲・日本橋・京橋地域の夜間人口はとても少なくなりました。しかし、今でもこの地域で生活やお店を営んでいる方々により、お祭りをはじめとするさまざまな行事などの伝統文化が受け継がれています。この伝統文化は、このまちのアイデンティティであり、特別な魅力でもあります。これを今後も永きにわたって継承していくことも、私たち企業の大切な役割です。

東京建物の取り組み

  1. 企業も社員も “まち”の一員としてまちづくりに参加する
  2. “まち”の歴史的文化を学び継承する
  3. 継承した文化を“まち”の発展へとつなげる

天下祭「山王祭」への参加

東京建物はまちの住人の一人として、江戸時代より続く山王祭に参加しています。
町会が代々守ってきた伝統を未来へ受け継ぐ一人となるため、町会の習わしや袢纏の着方、神輿の担ぎ方など、事前に社内レクチャーなどを行い、お祭りに備えています。社員が気軽に参加できる仕組みを導入することで、多くの社員が山王祭に触れ、神輿を担ぎ、歴史あるまちの重みや魅力を感じることができました。文化を引き継ぎ、まちの住人として、東京建物社員一人ひとりがまちの住人の意識を持ち、学び、後世へ伝えていくことが重要だと考えています。
その取組みが町会との信頼関係につながり、東京建物本社の所属する檜物町での神輿巡幸の際には、企業名の入った企業袢纏を着ることを許され、本社前で“手締め”をしていただいています。

八重洲・日本橋・京橋地域の東京建物のビル

山王祭、下町連合渡御とは?

500年以上前から日枝神社で行われている例祭と関連する祭典を総称して「山王祭」といい、2年に一度の本祭で、6月中旬、各町会の用意する町神輿が各町会を渡御(とぎょ)し、その中で各町神輿が日枝神社摂社や中央通りに集結し、一斉渡御を行うことを「下町連合渡御」という。下町連合渡御は戦争や関東大震災により途絶えていたが、近年復活、2016年で6回目。山王祭は江戸時代、三代目将軍家光公以来、山車と神輿が江戸城に入ることを許されていた数少ない祭。歴代の将軍が上覧する「天下祭」であり、かつ江戸三大祭りの筆頭、日本三大祭りの一つとして愛されている。

東都日枝大神祭禮練込之図(写真提供:中央区立京橋図書館)
町会の名前が入った提灯を捧げ持って神輿を先導する提灯隊は重要な役割
檜物町の神輿は戦火を潜り抜けた数少ない明治時代からのもので重量は約1トン
神輿を止めて行われる本社前での「手締め」
役員も多数参加

テナントもまちの住人に

東京建物の社員だけでなく、より多くの人に山王祭に参加していただくために、東京建物が運営するビル「東京スクエアガーデン」では、テナント様からも神輿の担ぎ手を募集しました。参加者の袢纏と帯は京橋三丁目町会様からの借り出しを仲介。当ビルに入居されている企業・店舗から40名が参加し、まちの文化を感じていただきました。

温故知新―歴史を知ってこのまちの住人になる
「江戸まち塾」による文化の継承

「江戸まち塾」は、山王祭をより楽しむために、その歴史から神輿の担ぎ方まで、さまざまなことを学ぶプログラムです。山王祭を支える町会に主催をお願いし、東京建物は事務局を務めています。
参加者は社内外に広く募集し、第一人者を講師にお迎えして、さまざまな視点から山王祭の楽しみ方をお話していただきます。こうした活動を通じて、地域の歴史や文化を深く知り、文化を引き継ぐこのまちの住人が増えることを願っています。

袢纏をはじめとした神輿の担ぎ手の装束を解説
「江戸まち塾」の募集チラシ

江戸まち塾に参加して

月刊「東京人」編集長 高橋 栄一 氏
江戸まち塾の全四講座に参加して、二つのことに驚いた。一つはテーマの設定と講師選びの巧みさ豪華さ、そして二つ目が主催者、聴講者の熱心さだ。お祭りはまちづくりの基本。そして見るよりも踊る方が一段と楽しい。祭りの歴史や由来、意義を勉強してから踊るか、踊ってから勉強するかはどちらでもいい。しかし、こうした講座が祭りを一層盛り上げ、楽しくさせ、まちの活性化と誇りにつながる。私自身、参加して山王祭が一段と楽しくなった。

地域から外への発信歴史と現在を発信する
「東京街人(トーキョーガイド)」

東京建物は、八重洲・日本橋・京橋地域の情報を発信するWebサイト「東京街人」を2016年4月にオープンしました。
イベント・スポットガイドはもちろん、エリアの歴史・文化についても発信することで、インターネットを通じて地域の外へまちの魅力を広げています。
また、このエリアで暮らし、働く人には、まちの魅力をより深く知る機会を提供しています。

神輿・袢纏図鑑など山王祭の情報も多数掲載
地元の歴史をよく知る人へのインタビューや老舗企業・商店の紹介なども

新しい文化の発祥によりそう
スポーツをまちづくりに生かす

公道に敷かれた人工芝の上で3対3で行うスピード感あふれる新しいスポーツ「ストリートラグビー」や、2019年ラグビーワールドカップ日本開催に向けて中央区観光商業まつり日本橋・京橋まつりの中で開催された「ラグビーチャリティーフェスティバル」、当社のビルに入居されているテナント様同士の交流促進施策として実施したフットサル大会の開催など、東京建物はスポーツを通じたコミュニティづくり、まちづくりにも携わっています。

ストリートラグビー
さくら通りに人工芝を敷いてグランドに。東京建物社員チームはオリジナル袢纏を着て参加。女性の参加者も多数
ラグビーチャリティーフェスティバル
震災被災地の復興支援ブース出店、オークションなどを開催。東京建物はイベントを後援しつつ、社員が運営に参加

その他のまちづくり活動

まちの清掃

八重洲・日本橋・京橋地域で業務開始前の時間を活用してボランティアで清掃活動を行っています。また、日本橋「橋洗い」イベントには2013年から継続して参加しています。

まちの防災

地域の防災会議に参加し、自治体や鉄道会社、周辺企業との連絡・連携体制を構築しています。八重洲地域では防災区民組織の事務局を担当しています。

未来に向けて魅力と競争力のあるまちづくりとは

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、そしてその後にも東京は大きく変わっていきます。東京建物も八重洲一丁目の再開発をはじめ、複数の計画に参加しています。
現在、東京はニューヨークやシンガポールなど、世界に名だたる大都市と企業や人を誘致する競争を繰り広げています。近い将来、再開発された大都市では、都市内の区・エリア単位で競争することになるでしょう。
そこでは、経済活動のための機能だけでなく、暮らしやすく、歴史・文化を含めた潤いのあるまちづくりが重要になってきます。行政や企業主導の旧来型のまちづくりではなく、そこに住む住民自身が主体的にまちづくりに関わっていくことが必要です。こうした時代に、私たち東京建物は不動産の専門家としてだけでなく、住民の一人としてまちづくりに関わっていきたいと考えています。

写真:計画中の「東京駅前八重洲一丁目東地区市街地再開発事業」完成イメージ

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