2014年12月01日

サステナビリティレポート 特集

お客様視点でコミュニケーションを強化する「Brillia」

東京建物グループでは、お客様の満足度の向上と多様化するニーズにお応えするために、「Brillia 暮らしのホットライン」を2012年にスタートし、マンション共用部の管理サービスだけでなく専有部の生活支援サービスを提供してきました。2014年には専有部サービスを含む多様なサービスのお問い合わせ窓口となる「Brillia オーナーズダイヤル」を開設。数多く分割されていた窓口を一本化しました。本特集では、「Brillia オーナーズダイヤル」を通じた「Brillia」のコミュニケーションブランドへの変化を紹介します。

住宅不動産活用サステナビリティ

「住んでからの安心」を「住む前から」にするお問い合わせ窓口の一本化

お客様の住まいと暮らしに関するお問い合わせに対し、24時間365日受け付けを行う、住まいと暮らしに関するグループ総合窓口が、「Brillia オーナーズダイヤル」です。さまざまな質問事項のお問い合わせ、各種サービスのお問い合わせ窓口の電話番号を一本化し、オペレーターがお客様のお問い合わせ内容に応じて適切なサービス窓口におつなぎします。
「緊急駆付けサービス」などの急を要するものはすぐに指定協力会社を手配、契約やアフターサービスの相談などは東京建物グループの各担当者に取り次ぎます。
いつでも電話ができ、かつ連絡先を考えずに1つの番号にかけるだけでいい、という手軽さがポイントです。

多種多様な質問対応・サービスの窓口を一本化した「Brillia オーナーズダイヤル」

インタビュー:「Brillia オーナーズダイヤル」を通じたお客様とのコミュニケーションアップ

「Brillia オーナーズダイヤル」の立ち上げ・運用に携わったメンバーに集まってもらい、その狙いや立ち上げ時の苦労、お客様の反応などについて話してもらいました。

中央左:東京建物株式会社 住宅事業企画部 CRM室 担当部長 野林茂
中央右:東京建物株式会社 住宅事業企画部 CRM室 課長代理 丸橋由佳
右:東京建物株式会社 住宅事業企画部 企画グループ 課長代理 矢島新
左:株式会社東京建物アメニティサポート くらしサービス部 グループリーダー 伊豆顕人
※所属や役職及び掲載内容は取材当時のものです。

お客様との距離を縮めるために考えだした

野林

東京建物グループでは、「Brillia」を新築分譲住宅のブランドとしてだけでなく、「住まいと暮らしのトータルブランド」として位置づけようとしています。そのためには、ハード面だけではなくソフト面も「Brilliaのサービス」として提供していこうという方向性があり、そのためにはもっとお客様とコミュニケーションを取らないといけない、お客様との距離を縮めていかなければならないという思いがありました。

各事業とお客様とのコミュニケーションについて、販売の現場や、グループ会社である東京建物アメニティサポートの管理の現場、家事代行等専有部サービスなど、さまざまな場面がありますが、とくにグループ会社が扱っているサービスなどは「Brilliaのサービスです」といってもお客様には身近に感じられないところもあるでしょう。

そして、お客様がご相談いただく上で、サービスの窓口が分かれていてはわかりにくいのではないか?という仮説からこのプロジェクトが始まりました。
そもそも、お客様は自分が住んでいる環境についてはご存知ですが、他の住宅のことは知りようがないので、ご自身が利用されているサービスがよいものかどうか比較しにくく、窓口の一本化はニーズとしても現れてはいませんでした。

ただ、一般の商材では、多くの場合、お客様サービスセンターは1つで、それが当たり前です。表面には出ていなくてもお客様のニーズを考えて何が一番最適かという視点で、「窓口を一本化しよう」と決めました。

マンションデベロッパーとして初めてのシステム

「Brillia 暮らしのホットライン」とは?

マンションの専有部で起こるさまざまなトラブルに対して、24時間365日で対応するサービス。
水漏れなどに対応する「緊急駆付けサービス」や、シニアの生活相談をする「シニアコンシェルジュサービス」、家事代行、引越しサービスなど、さまざまなサービスメニューをご用意しています。多様なオリジナルメニューやサービス利用時のみ有償になるという公平性が評価され、2013年グッドデザイン賞も受賞しました。
株式会社東京建物アメニティサポートが運営しています。

丸橋

あらゆるお問い合わせ窓口を一本化する、それも入居前を含む全ての窓口を一本化するというのはマンションデベロッパーとしては初めての取組みです。窓口業務を担っていただく綜合警備保障株式会社(以下ALSOK)様をパートナーに、詳細なマニュアルを作り上げていきました。「Brillia オーナーズダイヤル」の窓口からさらにサービスごとに電話を振り分けていくわけですが、その振り分け先を判断するための基準となる「キーワード」と「業務フロー」を入念に設定しました。

また、実際に私ども従業員が「Brillia オーナーズダイヤル」の窓口に電話をかけてテストをするというロールプレイングも行い、そこで間違ったものはマニュアルを改善していく、という作業を何度もくりかえしました。

「Brillia オーナーズダイヤル」の窓口での振り分け先は、その前身にあたる「Brillia 暮らしのホットライン」から約2倍の20ケ所になり、マニュアル作りにはかなり苦労しましたね。

野林

サービス開始前、2014年2月には4物件をモニターとした試験運用を行いました。その際のアンケート結果は、同時期の他の物件におけるアンケートと比べると窓口のわかりやすさに対する評価が高く、「不満」がゼロという、非常によい結果でした。そしてさらなるマニュアルの改善を重ねた上で、2014年10月には関東圏全域の物件で展開しました。

丸橋

導入するにあたって難しかったことは、やはり社内の意識を変えることですね。お問い合わせを受ける側としては用件が明確なら直接かけてもらった方が楽です。しかし、これまでも用件が明確でない、担当外の電話がかかってくることが全体の約3割あり、その対応にかかる時間が大きかったのですが、それがなくなるということ、また一本化がお客様のメリットにつながるということを社内には説明しています。

また、ALSOK様は入居前のお客様のお問い合わせを受けるのが初めてなので、「金消会※1」や「登記」などの専門用語の理解がたいへんでしたね。そうしたキーワードも全部ピックアップしてご説明しました。

※1: 金消会:正式には「金銭消費貸借契約会」。住宅ローンの契約会のこと

お問い合わせ件数が5倍増に

連絡先を記したマグネットやステッカーを作成

「すぐに連絡先がわかるように」電話番号を記したマグネットやステッカーを作りました。

ステッカーは管理事務所前に掲示、マグネットは各オーナー様に配布し、冷蔵庫など貼ってご活用いただいています。

矢島

導入後、「Brillia オーナーズダイヤル」へのお問い合わせは月に約1千件、年間で約1万2千件いただいています。担当外のお問い合わせがなくなれば全体では減る可能性もあると考えていたのですが、一本化してかけやすくなったこともあるのでしょう、多くのお問い合わせをいただいています。

伊豆

お問い合わせがしやすくなったおかげで、「Brillia 暮らしのホットライン」の家事代行サービスなどの専有部サービスへのお問い合わせも、一気に5倍に増えています。これは完全に「Brillia オーナーズダイヤル」の効果ですね。サービス利用者も増えてお客様満足の向上につながっています。

野林

「Brillia オーナーズクラブ」への加入件数も、導入前の10倍以上、月100件を超えました。情報が行き届きやすくなり、東京建物グループに対するお問い合わせがしやすくなり、当初の目的である「お客様との距離を縮めたい」はズバリ当たったといえますね。

「Brillia」のアイデンティティとして定めているサイクルがあるのですが、それはまず「声を聞く」、「声を聞いて価値をつくる」、「価値を伝えて価値を提供する」というものです。普段はこの「声を聞く」ために数多くのアンケートをやってきましたが、アンケートに書くほどでもない日常のちょっとした困りごとを「Brillia オーナーズダイヤル」によってくみとることができたのではないかと。このことは今後のサービス開発に生かせると考えています。

また、消費者調査でも、中古住宅売却時※2の相談を東京建物グループにしたいという意向が、全不動産会社中で2014年は5位だったのが2015年は2位になりました。リフォーム時※2の利用意向でも8位から2位になりました。当社グループのサービスに対するお客様の認知度向上を図り、親近感、ロイヤルティを高めるという意味でも、非常に効果があったといえるでしょう。

※2: 東京建物アメニティサポートが管理する住宅にお住まいの方の相談・利用意向割合

月1回の定例会議でシステム改善

丸橋

社内向けの効果としては、「Brillia オーナーズダイヤル」で案件を聞いてすぐに担当部署へつないでくださりますので、担当外の電話がかかってくることがほぼなくなりました。その分に投じられていた時間を他の仕事に振り向けることができるため、個人としても、グループとしても業務効率がとても上がっています。

また、本稼働して1年以上経ちますが、マニュアルで対応できないお問い合わせというのもやはり出てきてしまう。そうしたことを解決するために月1回、窓口であるALSOK様も含めて各担当部署の代表者が集まる定例会議を実施しています。グループ各社から疑問に思うことは全部出していただき、共有化しています。

伊豆

最初のころはわからないことがあったらほとんど丸橋さんに聞けという感じで、コールセンターの駆け込み寺状態でしたね。でも今は定例会議でマニュアルがどんどん改善されていっています。

丸橋

おかげさまで自分自身、東京建物グループ各社の業務内容の理解が進んだという面もあります。毎月の定例の場がお客様窓口の情報交換の場にもなっていて、業務連携も上手く機能しています。

サービス向上と関西圏への展開

伊豆

私が所属する東京建物アメニティサポートは管理会社ですので共用部が中心になっていたのですが、「Brillia 暮らしのホットライン」をはじめとした、お客様のニーズにあわせて専有部サービスもさせていただいています。「Brillia オーナーズダイヤル」が開設されてからは、さらに多くのご依頼をいただいておりますので、今後もお客様の期待に応えられるようにサービスをさらに充実させていきたいと感じております。Brillia オーナーズダイヤル」という仕組みを最大限に生かしていけるよう、運営側の方でもサービスメニューの充実等、どんどん改善をしていければと思っております。

矢島

2015年現在、「Brillia オーナーズダイヤル」は関東圏だけですが、2016年の4月1日から関西エリアに拡大していく予定です。今やっていることを関西エリアでもできるようにサービス内容を整えています。

今はインターネットでさまざまなサービスが簡単に比較検討できる時代です。私たちも今後は、サービス内容やコストパフォーマンスを高めて、「次も必ず東京建物グループに頼もう」と思っていただけるくらいにサービスレベルを強化していきたいと考えています。

そのためにも、「Brillia オーナーズダイヤル」をお客様とのコミュニケーションツールとして大いに活用して、「Brillia」をコミュニケーションブランドに育てていきます。

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