リジェネラティブな社会への変革加速に向けた声明「Regenerative Cities Manifesto」を発表
                      国際カンファレンス「RegenerAction Japan 2025」閉会 モデル ローラ氏によるSTUDIO R330での活動に関するトークセッションなど国内外の第一人者が25のテーマで知見と実践を発信
                    
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 東京建物株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 社長執行役員 小澤 克人、以下「東京建物」)は、「リジェネレーション」をテーマにした国際カンファレンス「RegenerAction Japan 2025(リジェネアクションジャパン2025)」(以下「本カンファレンス」)にて、リジェネラティブな社会への変革加速に向けた声明文「Regenerative Cities Manifesto(リジェネラティブ シティズ マニフェスト)」を発表しました。
本カンファレンスは、10月28日・29日の2日間開催され、「政治」「環境」「人間性」「社会」「文化」「経済」の6つの分野を横断し、食、文化、デザイン、スポーツ、企業経営、森林、地域など25にわたるテーマで、37名の国内外の有識者やイノベーター等が知見と実践を発信しました。また、「Regenerative City Tokyo」構想の一環である国内共創プロジェクトの進捗状況を共創パートナーと共に発表しました。期間中の聴講者は、延べ463名に及び、リジェネラティブな社会の実現に向けた大きな一歩となりました。
 
         
        「Regenerative Cities Manifesto」について
 
        東京建物は本カンファレンスにおいて、リジェネラティブな社会への変革を加速するための声明文「Regenerative Cities Manifesto」を発表しました。本マニフェストは、リジェネラティブ・シティの実現に向け、私たちが共に目指していきたい未来の姿を示すものです。東京建物が推進し、戦略パートナーであるFuture Food Instituteと共同で策定したもので、ひとつの組織を超えた、世界的な潮流の創出を目指しています。
日本の“わびさび”や“おもてなし”といった文化は、リジェネラティブな思想と深く響き合う価値観であり、日本人ならではの価値観を生かして、国際都市のロールモデルとなる「Regenerative City Tokyo」を世界へ発信してまいります。
Regenerative Cities Manifesto全文 : https://tatemono.com/news/news20251031/manifesto.pdf
「Regenerative City Tokyo」構想における国内共創プロジェクトの進捗について
 東京建物は「RegenerAction Japan 2024」(2024年11月25日開催)において発表した「Regenerative City Tokyo」構想の一環として進められている国内共創プロジェクトの進捗を、本カンファレンスにて共創パートナーと共に発表しました。
本構想は、2027年末までに、地球・社会・人々のウェルビーイングを向上させる共創イノベーションプロジェクトを、八重洲・日本橋・京橋(YNK※)エリアを中心に10以上創出することを目標とするものです。それらのプロジェクトを拡大・浸透させることで、2030年には、リジェネラティブな世界を実現するための最先端都市として、東京が、ロンドン、パリ、ニューヨークなどの国際都市の新しいロールモデルになることを目指します。
※ 八重洲(Yaesu)、日本橋(Nihonbashi)、京橋(Kyobashi)の頭文字をとったエリアの通称
都市と地域の連携(湯河原町×シーベジタブル×東京建物)
 本プロジェクトは、神奈川県足柄下郡湯河原町、合同会社シーベジタブル、東京建物による「都市と地域の連携」をテーマとした共創プロジェクトです。東京建物が湯河原町に企業版ふるさと納税を活用した寄付を実施し、シーベジタブルが湯河原町の自然資本を活用した海藻栽培および関連プロダクトの生産に関する実証実験を行うことが、本プロジェクトがスタートしたきっかけです。湯河原町が持つ海や温泉という豊かな地域資源を最大限に生かし、都市と地域をつなぐ循環型社会の形成に貢献してまいります。
なお、本プロジェクトに関連し、湯河原町、シーベジタブル、東京建物の三者は、2025年10月28日付で「湯河原モデルとRegenerative Cityの実現に向けた包括連携協定」を締結しました。
詳細は、2025年10月28日付リリースをご参照ください(https://tatemono.com/news/20251028-2.html)。
 
                      都市の中の共創プロジェクト「木庭 MOKUTEI」(リバネス×東京建物)
 
        本プロジェクトは、株式会社リバネスと東京建物によるリジェネラティブ・シティ実証プロジェクトの第一弾であり、都市と自然との新たな循環の形を提案するものです。
詳細は、2025年10月20日付リリースをご参照ください(https://tatemono.com/news/20251020.html)。
コミュニティビールプロジェクト(RegenerAction Japan ワークショップ×YNK地元の皆様×東京建物)
昨年の「RegenerAction Japan 2024」で実施された参加型ワークショップをきっかけとして、Butterfly Lab株式会社代表松村大貴氏が中心となり、ワークショップを開催したFuture Food Institute中村圭氏の伴走のもと、YNKエリアの飲食店オーナーやワーカーが集まり、「まちの未来のビジョン」を考えるプロジェクトを実施。YNKエリアの内外を“かき混ぜる”第一歩としてクラフトアルコール飲料「FIRST STEP」を開発しました。個性がありながらも和洋中すべての食事と相性の良い味わいを目指し、地元の醸造所で製造されています。使用するスパイスには、日本草木研究所(株式会社山伏)が提供するアオモジを採用し、日本のスパイス文化の活性化と林業が抱える課題の解決にも貢献します。多様なステークホルダーの課題を解決しながら、異なる役割を持つ同士の連携を生み出し、地域とのつながりを持つきっかけを提供するこの飲料は、全世界から人が集まる特殊なまち「八重洲」だからこそ実現できる社会と文化のリジェネレーションの事例となっています。
イノベーティブキッチン(8go×東京建物)
Innovative Kitchen 8go(エゴ)は、東京建物の本社地下2階(東京建物八重洲ビル・八重仲ダイニング内)に2025年2月に開業した、ミシュラン店を手掛けるシェフ・野田 達也氏が監修する未来を見据えた“リジェネラティブ”なモダンタパスレストランです。野田氏は「調和と循環」をテーマに、食を通じた社会課題解決について取り組んでおり、東京を消費の中心ではなく、循環の拠点とし、地域と都心を結ぶハブにすることを目指し、フードテックや環境配慮、生物多様性の向上を目指す生産者の食材、さらに市場で価値が付かず廃棄されている食材などを用いたメニューを提供しています。来店客に行動変容のきっかけを提供するだけでなく、食の領域で活動するプレーヤーに問題提起を行い、領域を超えたコラボレーションや活動の加速も目指しています。(Innovative Kitchen 8go公式サイト : https://8go8go8go.jp/)
 
                      トークセッション
本カンファレンスでは全25テーマ、37名の国内外の有識者やイノベーター等によるトークセッションが開催されました。主なセッションのダイジェストは以下のとおりです。(以下、登壇順)
Future Food Institute Sara Roversi氏
【テーマ】リジェネレーションに向けた新たなリーダーシップ
 
      気候変動や環境悪化の現状を示しつつ、「Climate Week NYC」などのグローバルカンファレンスに参加した自身の体験に基づき、再生型モデルの必要性を強調しました。サステナブルなだけでなく、人間の幸福やコミュニティの繁栄を包括的に考える「リジェネレーション」の視点を提示し、さらに、食を起点とした地域活性化や世代間のつながりの重要性やリジェネレーションに関する取り組みを日常的に体験できる場として、2024年12月にオープンした「Tokyo Living Lab」など具体的な取り組みを紹介しました。個人から組織、社会全体における新しいリーダーシップ実践への行動を呼びかけ、“想像・信念・行動”でより良い未来を創る必要性を訴えました。
中川政七商店 千石 あや氏
【テーマ】工芸から始まる地域のリジェネレーション
 
        「日本の工芸を元気にする!」というビジョンのもと、企画から製造・販売までを一貫して手がけるSPA事業や、コンサルティングなどを行う産地支援事業が紹介され、メーカーの経済的自立をサポートし、工芸産業の持続可能な発展に向けた取り組みが語られました。また、工芸は単なるプロダクトではなく、その背景や文化、歴史など多くの要素が付随しており、一度失うと取り戻すことが非常に難しいと指摘。千石氏は「百年後も続く工芸を目指して日々努力している」と語り、何かを選び、使う際にその想いに思いを馳せることで、次の豊かさを考えるきっかけになるのではないかと締めくくりました。
シグマクシス 柴沼 俊一氏(モデレーター:Forbes JAPAN 谷本 有香氏)
【テーマ】“リジェネレーション”を、経済・社会・自然のパラダイムシフトの中でどう実装していくか
 
      サステナビリティの“次”として注目される「リジェネレーション」の概念について改めて解説し、社会課題の解決と事業成長を両立させる新たな価値観の重要性を強調しました。従来の金融資本が直線的な成長を目指すのに対し、共感資本(信頼)や社会共通資本(自然)は循環的な価値を持つと指摘。これらの資本をどのように捉えるかが、未来の社会や企業像を左右すると述べました。
さらに、AIの進化やポスト都市化に伴う「パラダイムシフト」の中で、必ずしも「経済成長」と「豊かさ」が一致しない時代が到来すると指摘。企業は短期的な財務価値だけでなく、土台となる経済価値を超えた活動を「共に成長する歩み」として可視化し、時間をかけて信頼を築くプロセスを重視すべきと提言しました。
TEAM UKYO代表 片山 右京氏×東京建物 小澤 克人(モデレーター:テレビ東京 林 克征氏)
【テーマ】スポーツとリジェネレーション:自転車が繋ぐ地域と未来
 
        片山氏は、モータースポーツの技術進化と環境配慮の両立、自転車の機動性や健康・環境面での利点を紹介し、自転車が単なる移動手段ではなく、心身の豊かさを育み、人と地域をつなぐツールになり得ると語られました。また、都市部では駐輪設備やインフラ整備、地方では観光資源や地域経済と結びつけた取り組みの可能性を提示。片山氏は「行動なくして再生はない。まずは自転車に乗ることから」と来場者に呼びかけました。
BIOTOPE 佐宗 邦威氏×veig 片野 晃輔氏
【テーマ】文化起業家が描くリジェネラティブな社会設計
 
      両氏は、「リジェネレーション」を“自然や社会、個人が相互に回復し合う循環的な関係性のデザイン”と位置づけ、企業や個人の在り方そのものを問い直す必要性を語り合いました。
片野氏は、サイト固有の生態・社会文脈に即して価値を整理し、保全や回復の優先度は地域依存で都市が第一とは限らないと指摘。都市では、概念を解きほぐし学習を促すショーケース型緑地の有効性を示しました。緑地におけるリジェネレーションは過去、現在、施策後の定量的な差分で議論を基礎づけ、困難な場合ではショーケースとしての設計など目的・規模・関係者に応じた設計方針を推奨しました。さらに、設計前のコンサル期間・合意形成と科学/情報リテラシーの底上げを前提とした協働が、標語で終わらせない実務的な再生に繋がるのではと強調しました。
佐宗氏は、文化を媒介として人や地域をつなぎ直すことが、持続を超えた「再生的成長」につながると強調しました。
大日本印刷株式会社 鈴木 由香氏
【テーマ】市谷の杜から始まる都市のリジェネレーション
 
        大日本印刷創業の地である市谷地区の再開発で、都心における対話と価値創出の拠点として計画した「市谷の杜」について、その意図や背景を説明しました。この大規模緑地は地域や自然との共生を目指したもので、人工地盤上に自然土と地域固有の在来種を用いて造成されており、社員が日常的に管理を担うことで、地域との新たなコミュニケーションが生まれていると紹介されました。さらに、鈴木氏は「この取り組みは単なるCSR活動にとどまらず、『未来のあたりまえをつくる。』という大日本印刷のブランドステートメントを体現するものであり、社員のウェルビーイング向上と共に、当社のイノベーションを創出する中核拠点として機能している」と強調しました。
モデル ローラ氏
【テーマ】STUDIO R330での活動について
 
      自身が立ち上げたライフスタイルブランド「Studio R330」のワンピースを纏って登壇したローラ氏は「心と体、そして地球が心地よく循環するものづくりを目指している」と語りました。運動を通じて心が前向きになったご自身の経験から、リサイクルポリエステルなど環境負荷の少ない素材を採用し、サステナブルなアクティブウェアづくりに挑戦。さらに、羊を傷つけずに採毛するウールや、製造過程の排水を、人が飲めるほどまでに浄化するデニム工場との協働など、素材選びから製造過程まで「リジェネレーション」の思想を貫いています。「少しずつでも、より良い循環を生む服づくりを続けたい」と語る姿には、ファッションを通じて人と地球をつなぎ直す、ローラ氏のリジェネラティブな理念が息づいていました。
TeaRoom岩本 涼氏×伊藤園 羽鳥 雅春氏×西製茶工場 西 利実氏(モデレーター:日本たばこ産業 西川 信太郎氏)
【テーマ】Regenerative Manifesto for Future of Matcha Market
 
        登壇者からは、世界的な抹茶需要の高まりに伴い日本の輸出額は急増している一方で、生産の偏りや価格高騰、海外での低品質抹茶の流通が課題となっていることが指摘されました。また、中国など他国の生産拡大が進む中、日本の強みを維持するには、品質基準を含む「抹茶」の定義を国際的に確立するルール形成、ルールに基づいた市場形成が急務であるとの議論が展開されました。さらに、環境負荷低減と地域コミュニティの活性化を両立させる取り組みや、バリスタなどの専門人材、 消費者教育を通じた市場拡大の可能性も共有され、抹茶産業の長期的成長に向けた新たなビジョンが示されました。
その他の登壇者・トークテーマについては、公式サイト(https://regeneraction.jp/)をご参照ください。
ワークショップ、体験、展示
本カンファレンスでは、2日間を通じて多数の参加型コンテンツが提供されました。
ワークショップ:リジェネラティブ・リーダーシップ(28日開催)
一般社団法人リジェネラティブ・リーダーシップ・ジャパンが提供。2025年2月に英治出版より発行された書籍「リジェネラティブ・リーダーシップ」をベースとしたワークショップです。「流域」という具体的なテーマを交えながらの座学と、リジェネラティブ・リーダーシップで提唱される、生命システムデザイン・生命システムカルチャー・生命システムビーイングの3領域のカードを用いて 、参加者自身から始まるリジェネラティブな旅路を探る体験が行われました。
ワークショップ:リジェネラティブな事業探究ゲーム(29日開催)
一般社団法人Earth Companyが提供。リジェネラティブをテーマにしたワークショップとしては日本で初めてグッドデザイン賞を受賞したもので、本カンファレンスでの実施は同賞受賞後初となります。リジェネラティブなビジネスを考える視点を、東京湾を基にしたロールプレイングを通じて体感する没入型のワークショップとなりました。
体験:デジタル森林浴®︎
フォレストデジタル株式会社が提供する「uralaa(ウララ)」を会場内に設置しました。世界初のクラウドベース空間VR技術により、ゴーグル不要の没入体験を提供するイマーシブ空間映像技術で、来場者は大都市東京に居ながらも、光と音の演出により森林浴を楽しむことができ、リジェネラティブな営みに欠かせない日々の生活と自然資本との密接なつながりを意識するきっかけを提供しました。
 
                      展示:松葉屋×veig
「RegenerAction Japan 2024」での対談を契機に実現した本展示では、“リジェネラティブ”というテーマを、新陳代謝や「積み上げたものを感じる」という視点から捉え、積み上がった岩の上に懸崖のゴヨウマツを据え、足元には新陳代謝の痕として松葉が積もる。長い時間をかけ形成された岩場に根づくマツの姿を想像し、盆栽と石積みの構成によって、風景と時間の層を表現しています。
 
                      展示:五十嵐製紙(Food Paper)
越前和紙の老舗である五十嵐製紙が展開する廃棄される野菜や果物から作られる紙文具Food Paperが展示されました。
 
                      「RegenerAction Japan 2025」開催概要
| 日時 | 2025年10月28日(火)13:00〜18:00、10月29日(水)9:00〜18:00 | 
|---|---|
| 会場 | 東京コンベンションホール(東京都中央区京橋3-1-1 東京スクエアガーデン5階) 東京メトロ銀座線「京橋」駅直結、東京メトロ有楽町線「銀座一丁目」駅徒歩2分、 都営地下鉄浅草線「宝町」駅徒歩2分、JR「東京」駅徒歩6分、JR「有楽町」駅徒歩6分 | 
| 参加費 | 10,000円(税込、事前登録制)※学生は無料 | 
| 共催 | 東京建物株式会社、Future Food Institute、一般社団法人TOKYO FOOD INSTITUTE | 
| 公式サイト | https://regeneraction.jp/ | 
 
                     
                    