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つながるをつなげる?

コミュニティの継承と育みと。つながりを未来へ引き継ぐ団地建替えプロジェクト

What's Shakujii Koen Apartment
Complex Reconstruction Project?

石神井公園団地
建替えプロジェクトって?

AIさんが訪れた「Brillia City 石神井公園 ATLAS」は、東京23区内最大級の規模であった石神井公園団地(1967年竣工、総住戸数490戸)の建替えによって誕生した新たなコミュニティです。築50年を経過した団地の老朽化と住民の高齢化という大きな課題に立ち向かうため、東京建物は石神井公園団地マンション建替組合と手を取りあって再生事業を進めてきました。そして10年以上の歳月をかけ、2023年9月に竣工。総住戸数844戸の大規模マンションへと生まれ変わりました。
このプロジェクトでは、旧石神井公園団地の緑豊かな環境はそのままに、住まう方の希望をかたちにしながら団地時代からのコミュニティを継承。さらに新旧の居住者と地域の皆さまとのつながりを創出しています。さて、建替えまでにどんなストーリーがあったのでしょうか?
ご案内役は、建替えプロジェクトの推進を担当した東京建物プロジェクト開発部の我孫子太一。

Concept

「ただいま」が聞こえる
マンション

我孫子

本日はお越しいただきありがとうございます。さっそくですが、AIさんは団地にどんなイメージをお持ちですか?

AIさん

たくさんの人が住んでいて、子どもたちもいて、いつも楽しそうだなって。

我孫子

団地は近所の関係性も近く、小さなまちのようですよね。ここにはもともと「石神井公園団地」という50年以上続くコミュニティがありました。老朽化もあって、2023年に8棟構成で840戸を超える大規模マンションに生まれ変わりました。東京建物はそのお手伝いをしたんです。
現在は844世帯が住んでいますが、すでに育まれていた団地のコミュニティを新しいマンションに受け継ぐことを大切にしました。そのために社内はもちろん旧住民を中心とする建替組合の方々と何度も話し合ったんです。

AIさん

コミュニティを、ですか。じゃあ、いろんな交流が生まれたり?

我孫子

はい。今では新旧の住民の方々が一緒にサークル活動をしたり、イベントに参加したり、温かなコミュニティがしっかり受け継がれています。
こちらのコヒガンザクラもそうです。マンションの竣工を記念して植樹イベントを開催した際、住民の方々が一緒に記念樹を植えてくださったんです。

AIさん

将来、「あのときに植えたサクラだよね」みたいな会話が生まれたらすごくすてき。水辺も近いし緑も多いし、癒されますね。

我孫子

石神井川沿いに遊歩道も整備しました。規模は大きいんですけど、建替え後のコンセプトは「ただいまが聞こえるマンション」です。温かみのある、人との距離が近いマンションになればという想いを込めました。では実際に中へ入ってみましょう。

住宅団地の課題とは?

日本の住宅団地の多くは1950年代半ば〜1973年の高度経済成長期に開発されました。建設から50年以上が経過する中、老朽化、空き家の増加、エレベーターやバリアフリーといった高齢化に対応した住環境の不足など、さまざまな問題が顕在化し、社会課題のひとつとなっています。
東京23区内で最大規模だった石神井公園団地も1967年の竣工から相当年が経過し、他の団地と同様に建物・設備の老朽化と住民の高齢化が進んでいました。こうした課題に向き合うべく、2007年に団地の管理組合が建替・修繕検討委員会を設置。以降、10年以上にわたり団地再生についての勉強と検討を重ね、2019年に団地の建替えを決める「一括建替え決議」が可決されました。

Wish

幅広い世代みんなが
住みよい場所へ

AIさん

このマンションに住んでいる方は皆さんお元気ですね。

我孫子

建替え前は490世帯が暮らす団地でしたが、そのうち301世帯の方がこのマンションに戻ってこられました。ですから新しく入居された世帯を合わせると多様な世代の方がお住いになっているんです。こちらはマンション管理組合の理事長、黒河内さんです。中学2年生のときから当地にお住まいでした。

AIさん

すごい。ずっとこちらに?

黒河内さん

もう半世紀を超えましたね。ここで自分の家族も持ち、子育てもしました。建替え後、私の子ども世代の人たちが入って子育てしてくれて、中庭で子どもたちの声が聞こえるというのは本当にうれしいことです。世代を越えて手を振り合う仲間がたくさんいます。あちこちで「こんにちは」が飛び交っているマンションですね。

AIさん

建替えのときに大切にしてほしかったことは?

黒河内さん

東京建物さんは住民との対話を大事にしてくれる会社なので、いろいろな要望を聞いていただけました。たとえば、豊富な緑を受け継ぐこと。旧団地と同じ全棟南方位向きとすること。高齢者に配慮した住戸プランとすること。住棟計画には、私たち自身も気づかない漠然とした願望も先取りして叶えてくれました。子育て世代が交流できるキッズルームや、フラダンスなどのサークル活動ができるスタジオなどの共用施設も。

我孫子

黒河内さんをはじめ建替組合の方々とは、もともとあったコミュニティをマンションにどう活かすかという点を一番議論しましたね。

黒河内さん

「100年続くコミュニティ」を目指そうといってね。

AIさん

100年!どんなコミュニティにしていきたいですか?

黒河内さん

これまでの住民と、新たに入ってくる若い世代とのつながりを構築していきたいですね。そのために団地時代に行っていた夏祭りなども引き継いで実施する予定です。
このマンションの誕生月である9月には「SHAKUJII HAPPINESS FESTA(シャクジイ ハピネス フェスタ)」を開催します。まちびらきイベントと同じ名前を使っていくことにしました。毎年、回を重ねていくつもりですよ。

つながる活動とは?

建替え後の2023年11月にまちびらきイベント「SHAKUJII HAPPINESS FESTA」を敷地内のセンタープラザにて開催。周辺地域からも多くの方が来場し、歴史ある石神井公園団地の生まれ変わりを祝う活気のあるイベントとなりました。
また、旧団地ではサークル活動が活発でしたが、現在も引き続きフラダンスや絵画クラブが活動しており、新たにエクササイズの会や子ども向けアートラボなども発足しています。

Connect

住む人と地域をつなぐ
場所づくり

我孫子

マンション敷地内のコミュニティスペース「アンドエス」もご紹介しますね。テレワークやサークル活動にもご利用いただける場所です。こちらは、アンドエスを運営されているPolaris(ポラリス)の大槻さんです。

大槻
さん

この場所は地域に開かれたコミュニティスペースになっていて、誰かとおしゃべりしたり、ひとりで自由に過ごしたり、それぞれがともに過ごせる空間なんです。

AIさん

ソファでコーヒーも飲めるんですね。こういうところ大好き!

大槻
さん

「つながりましょう」というのではなく、ひとりでいることもできて、みんなといることもできる、という、人とのつながり方を選択できることが大事だと考えています。

AIさん

そのゆるやかな関係があるから、いい雰囲気の場所になってるんだなぁ。私、初めて来ましたけど、なんだかすごく落ち着きます。

大槻
さん

前身は、マンションのゲストサロンの隣に設けていた「Shakuji-ii BASE(シャクジイイベース)」というコミュニティスペースです。再入居までの間、団地の皆さんがこれまで築きあげてきたコミュニティを維持できる場として、また新たに入居される方との交流の場や情報ステーションとして、多くの方にご利用いただいていました。新しい住民の方からも好評だったので、東京建物さんと「こういうお互いが安心できる場を残していきましょう」と話し合い、このアンドエスが誕生しました。

AIさん

皆さんが手書きした「私が推したい石神井スポット」のマップも貼ってありますね。

大槻
さん

地域の人たちもお買物のついでなどにふらっと立ち寄ってくださるので、マンションに住む方と地域の方が交わる場にもなっています。
最近は幼稚園帰りの子が「ただいま」って顔を出してくれるんですよ。

AIさん

すてきですね。私もふらっと来ちゃおうかな!

アンドエス

5号棟1階にある地域に開かれたコミュニティスペース。勉強や仕事の場としてのコワーキングスペース、イベントやワークショップができるレンタルスペース、シェア型書店など、思いおもいの使い方を叶えます。メインテーブルに使われているのは、秋田県から取り寄せた樹齢250年を超える天然杉の一枚板。車椅子対応のトイレにはおむつ交換台も設置されています。

アンドエス

Interview

たくさんの笑顔に見守られて子育てしています。

松尾さんご家族
(新規住民)

6歳と3歳の子どもがいます。ここは石神井公園が近く、自然がたくさんあって子育てするのにぴったりの環境だなと思って選びました。同じように子育てしているご家庭も多くて、センタープラザで子どもたちが一緒になって走り回っています。おかげさまでママ友もすぐにできました。自転車置場などで元気よく挨拶をしてくださる方もいて、子どもたちがたくさんの人に見守られているな、たくさんの人の目があって安心だなって実感しています。
そもそも入居前からShakuji-ii BASEで説明会やイベントが開かれていて、入居予定の方とお話しする機会も多かったんです。そこで知り合ったパパ友の会では毎月飲みにいったりして情報交換しています。パパ同士のつながりも深めていますよ。

Interview

温かなコミュニティは単身者にも安心です。

鈴木さん
(新規住民)

私は一人暮らしですが、人とつながれる安心感がすごく大きいですね。ここにはすでに団地時代のコミュニティがあり、新参者が入れるだろうか?とも思ったのですが、入居してまだ数か月ながら、気軽に声をかけられる人、挨拶できる人ができて、引っ越す前より知り合いが増えたかもしれません。ルールなども気さくに共有してもらえるので住みやすいし、ありがたいなと思っています。
今、自治会の活動にも参加していて、たくさんの方にアドバイスをいただきながら新しく立ち上げているところです。団地時代から続く夏祭りの企画も担当。学園祭をつくるような楽しさを久々に感じています。

Future

継承とアップデートを
忘れない

AIさん

すてきなマンションでしたね。これからの建替えについては、どうしていきたいですか?

宮裡

マンションの建替えは、私たちだけではできません。たとえば、コミュニティの運営は住民のみなさんが主体となって進めていきます。だからこそ、しっかりとバトンを渡せるように、その地域の特性・ローカルを意識したまちづくりをしていきたいと思っています。

我孫子

変えるものと変えないものがそれぞれあると思うんです。地域や住民の方が何を残したいのか、まずその想いを汲みとり、残すものについてはきちんと継承をして発展させていきたいです。

宮裡

それもただの継承ではなく、アップデートが生まれていくことが大切。このマンションで例を挙げるなら、夏祭りを新しい住民の方や今の時代に合ったスタイルに変えていくといったように。実際に今日、住民の皆さんの笑顔を拝見して、この建替えプロジェクトが今後のモデルケースになると期待しています。AIさんはご覧になっていかがでしたか?

AIさん

見守りあいを感じて安心したり、自分も近所の人たちと挨拶しなきゃと反省したり。「私もここでおばあちゃんになりたい!」って思いました。

宮裡

コミュニティをつくるって一筋縄ではいかなくて、何度かイベントをやれば生まれるようなものではないですよね。やはり、日常的なコミュニケーションが必要です。だからこそコンセプトの「ただいま」という言葉が、お隣さん同士や、同じマンションに住む方、地域の方も含めて、コミュニティが生まれるきっかけになればいいなと思っているんです。

AIさん

本当に、建物だけじゃないんですね。

我孫子

はい。建物というハードの部分はもちろんですが、それ以上にコミュニティのようなソフトの部分を大切に育てていける東京建物でありたいです。

Brillia City 石神井公園 ATLAS

マンション建替え円滑化法活用により、東京23区内最大級の石神井公園団地を再生する一括建替事業。住民の意見を反映して、全棟南方位向きの住棟配置や緑化計画、8棟構成という大規模マンションならではの多彩な共用施設など、これまでのコミュニティを活かし続ける施設計画を策定。多世代が安心して暮らせるまちづくりを目指しました。

東京都練馬区上石神井3-19-1〜8

People

Brillia City 石神井公園 ATLASで
出会った人々

東京建物株式会社 
プロジェクト開発部

我孫子 太一

Brillia City 石神井公園 ATLASの建替えプロジェクトの推進に従事。マンション敷地内のコミュニティスペース「アンドエス」の計画やまちびらきイベントの企画など、主にコミュニティの醸成に関する施策等に取り組んできた。

Brillia City 石神井公園
ATLAS 団地管理組合 理事長

黒河内 剛さん

中学2年生の頃から旧石神井公園団地に居住。団地の建替事業では建替組合理事長を務め、マンション竣工後の現在は管理組合理事長として、「100年続くコミュニティ」づくりに取り組んでいる。

非営利型株式会社Polaris 
代表取締役

大槻 昌美さん

「誰もが暮らしやすく、はたらきやすい社会の実現」を目指し、数多くのコミュニティ運営を手掛ける。Brillia City 石神井公園 ATLASでは「アンドエス」の運営を担当し、地域に開かれたコミュニティスペースを目指している。

東京建物株式会社 
プロジェクト開発部

宮裡 弘樹

Brillia City 石神井公園 ATLASの建替えプロジェクトの推進に従事。主に建替え組合の運営補助やコミュニティの醸成に関わる施策を担当し、「アンドエス」の前身である「Shakuji-ii BASE」の設営等に取り組んできた。

※登場順に記載

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