気候変動への対応
Responding to Climate Change

方針・考え方・体制

パリ協定において、産業革命前に比べて世界の平均気温上昇を2℃未満に抑える合意がなされ、低炭素社会の実現に向けた取組みが求められるなか、不動産業界においても、保有不動産や事業活動において、温室効果ガス(GHG)を削減する取組みが不可欠です。
また、気候変動による風水害等の自然災害の増大は、社会に多大な影響を与えると同時に、保有不動産の価値低下等にもつながる可能性があることからも、気候変動の影響への備えは重要です。
東京建物グループは、「グループ環境方針」の一つに「地域をリードする温暖化防止」を掲げ、省エネルギー設備等の環境性能に優れた不動産の開発に取り組むと同時に、風水害等の自然災害に強い不動産の開発を進めています。開発後はビル管理会社やテナント様と協働し、運用面からも省エネルギーに取り組んでいます。
※GHG(Green House Gas):温室効果ガス。温室効果のある各種気体の総称

指標と実績

東京建物の事業活動において、最もエネルギーを使用するビル事業におけるエネルギー使用量を削減することが、東京建物全体の温室効果ガス(GHG)排出削減に大きく寄与します。
エネルギー使用量の削減にあたっては、床面積による原単位を指標とし、省エネ法に基づく5年間の移動平均で毎年1%の原単位削減を目標としています(温室効果ガス(GHG)排出量の原単位についてもこれに準ずる)。
2019年度は、エネルギー負荷の高い商業施設およびホテルの開業などにより、エネルギー使用量は増加しましたが、既存のオフィスビルにおける高効率の空調機器およびLED照明器具の積極的な導入などによりエネルギーの原単位は大きく減少する結果となりました。

  • 集計期間:各年度の4月から翌年3月まで
  • 集計範囲:省エネ法届出対象施設
    ※報告対象となるビルの床面積は年ごとに変動します。
  • 集計対象:エネルギー使用量・原単位・温室効果ガス(GHG)排出量・原単位

東京建物では、報告数値の信頼性を確保するため、環境・社会データの一部について、ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド(LRQA)による第三者保証を受けています。対象となるデータの種類および数値には*マークを付しています。第三者保証書はESGデータブックに掲載しています。

エネルギー使用量・温室効果ガス(GHG)排出量

項目 単位 2015 2016 2017 2018 2019 2020目標
エネルギー使用量(原油換算値)* kl 22,822 21,592 22,083* 23,895* 24,165* -
 原単位 kl/千㎡ 36.3 35.4 34.2 35.0 34.0 34.6
温室効果ガス(GHG)排出量* t-CO₂ 45,059 44,629 42,147* 48,888* 51,465* -
 Scope 1(燃料由来)* t-CO₂ 3,243 2,553 2,402* 3,300* 2,871* -
 Scope 2* t-CO₂ 41,816 42,076 39,745* 41,259* 41,392* -
 Scope 3* t-CO₂ - - - 4,329* 7,202* -
 原単位(Scope 3を除く) t-CO₂/千㎡ 71.6 73.1 65.3 65.2 62.3 67.8
報告対象床面積 千㎡ 629 611 645 683 710 -

ビル事業における気候変動への取組み

東京建物の保有・管理するオフィスビルにおいては、省エネ設備機器の採用や運用方法の改善など、さまざまな温室効果ガス(GHG※1)の排出削減に関する取組みを実施しています。特に東京建物が保有するビルではLED化対応を進めており、2019年度までに89%のビルでLED化工事を実施済み・実施中となっています。LED化を含め、2019年度に実施した取組み実績は以下の通りです。

※1 GHG(Green House Gas):温室効果ガス。温室効果のある各種気体の総称

※以下実績件数は2019年1月〜12月

【省エネ設備機器採用・更新による取組み】

  • 専用部・共用部のLED化率:23%
  • 共用部のみのLED化率:6%
  • LED化工事実施中:60%
  • 高効率空調機への更新:3件
  • セキュリティと連動した空調・照明OFF機能の導入:4件

【運用方法の改善による取組み】

  • 共用部空調温度管理の徹底:21件
  • BEMS導入事業所でのBEMS活用:6件
  • 設計性能を最大に発揮する管理を実現するための情報共有:2件
  • 外部機関によるエネルギー診断の実施:2件
  • バックヤード照明の消灯・間引き

【テナント様との協働による取組み】

  • 節電案内パンフレットの配布
  • 夏季・冬季の節電:35件
  • 総量削減制度対象事業所で省エネ推進協議会を年1回開催:2件
  • グリーンリース条項の賃貸借契約書への記載

※ビルオーナーとテナントが協働し、専用部内の省エネなどの環境負荷の低減や執務環境の改善について契約や覚書等によって自主的に取り決め、取り決め内容を実践すること

2009年度実績分から、東京都環境確保条例に基づく「地球温暖化対策報告書」を提出しています。

住宅事業における気候変動への取組み

東京建物では、エネルギー消費量の少ない社会構築のため、経済産業省から発表されたZEHロードマップに基づくZEHの普及実現を目指しています。ZEHデベロッパーとして、2018年5月のZEHデベロッパー登録制度初回登録時に登録しており、ZEH-M(ゼッチ・マンション)の普及に積極的に取り組んでいます。

※ZEH(ゼッチ)と呼び、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略とされる。断熱や省エネルギーなどのエネルギー消費低減と、発電によるエネルギー創出を総合して、年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)の収支をプラスマイナス「ゼロ」にする住宅のこと。ZEM-M(ゼッチ・マンション)はその集合住宅版

超高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)「(仮称)Brillia Tower 聖蹟桜ヶ丘 ブルーミングレジデンス」

「(仮称)Brillia Tower 聖蹟桜ヶ丘 ブルーミングレジデンス」は、経済産業省によって公募された「平成31年度超高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」に首都圏初・唯一の事業として採択されました。
本マンションは外壁等の断熱性能の向上や高断熱サッシの採用、高効率給湯設備の採用などにより、6階建て以上の高層集合住宅において目指すべき水準である「ZEH-M Oriented」の基準を満たしています。

※正式名称は、「平成31年度省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業)のうち超高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」。集合住宅のZEH化を促進するための設計ガイドラインを策定するために必要な実証事業。設計仕様やエネルギー性能に関する情報を提供する事業者に対し、集合住宅のZEH化にかかる費用の一部を補助する。

グリーン電力証書による再生可能エネルギーの利用

東京建物では、2016年5月から、Brilliaブランドのマンションモデルルームにおいて使用する電力を、グリーン電力証書の枠組みを利用して100%再生可能エネルギーに切り替えています。2019年は約61万kWhの電力に、グリーン電力証書を活用しました。

太陽光発電所による「創エネ」事業

ビル管理を行う東京不動産管理では、環境事業として、ビル管理の視点からの省エネルギー提案や、再生可能エネルギーの固定価格買取制度のスタートに合わせた太陽光発電所による「創エネ」事業に取り組んでいます。北関東地域を中心に太陽光発電所を展開しており、2019年12月末時点で8ケ所、計12,382kWの発電容量を有しています。

太陽光発電所一覧

名称(所在地) 発電容量 稼働年月
小山太陽光発電所(栃木県小山市) 785kW 2013年2月
いわき太陽光発電所(福島県いわき市) 2,454kW 2013年11月
常総太陽光発電所(茨城県常総市) 672kW 2014年9月
鳩山太陽光発電所(埼玉県比企郡鳩山町) 1,908kW 2015年3月
栃木平井太陽光発電所(栃木県栃木市) 1,559kW 2015年3月
栃木西方太陽光発電所(栃木県栃木市) 1,884kW 2015年6月
白河太陽光発電所(福島県東白川郡棚倉町) 2,034kW 2015年11月
東広島太陽光発電所(広島県東広島市) 1,086kW 2015年12月

小山太陽光発電所 / いわき太陽光発電所 / 鳩山太陽光発電所

気候変動問題に関する意識啓発

気候変動問題を多くの方に身近に感じてもらい、社会全体で取り組んでいける環境を整えるため、商業施設を運営するプライムプレイスでは、「SMARK(スマーク)伊勢崎」「岸和田カンカンベイサイドモール」「あびこショッピングプラザ」「モレラ岐阜」の4つの商業施設において、「親と子の地球環境フェスティバル」(一般財団法人新エネルギー財団主催)を開催しました。
子どもやその保護者の方たちに、楽しみながら環境について学んでいただくため、人形劇やソーラーカーの工作、クイズラリー等を実施しました。

レジリエントな不動産の開発

近年、気候変動等が原因とみられる大規模な風水害が増えています。東京建物グループでは、ビルや住宅の開発において、台風や水害、大地震等、さまざまな災害の発生を想定し、災害に対応した設計や設備を採用しています。

【東京建物日本橋ビル(2015年2月竣工)の災害対策】

  • 免震構造(地下1階柱頭免震)の採用
  • 72時間運転可能な非常用発電機の設置
  • ゲリラ豪雨や荒川決壊に対する浸水対策として、浸水想定以上の
    防潮板の設置
  • ビルの中枢機能である防災センターを2階に設置
  • 変電設備・非常用発電機を屋上に設置(万が一のビル浸水時にも
    電源供給が途絶えることなく、継続的な運営が可能)

【既存ビルにおける大規模地震対策】

  • BCP拡充のため、新たに屋上に非常用発電設備を設置。テナント専用部への供給を可能に(東京建物八重洲ビル)
  • 大規模・中規模ビルを中心に物理的にオイルタンクの増設が可能なビルについては追加設置を実施し、非常時の非常用発電機運転時間の長時間化を実施
  • ビル管理用およびテナント従業員サービスの一環として、保管水と塩による発電で携帯電話の充電が可能な簡易蓄電池をビル管理室等に設置