気候変動Climate Change

方針・考え方・体制

パリ協定において、世界の平均気温上昇を2℃未満に抑える合意がなされ、低炭素社会の実現に向けた取組みが求められるなか、不動産業界においても、保有不動産や事業活動において、温室効果ガス(以下GHG)を削減する取組みが不可欠です。
また、気候変動による風水害等の自然災害の増大は、社会に多大な影響を与えると同時に、保有不動産の価値低下等にもつながる可能性があるため、気候変動の影響に備えることが重要です。
東京建物グループは、「グループ環境方針」の一つに「地域をリードする温暖化防止」を掲げ、省エネルギー設備等の環境性能に優れた不動産の開発に取り組むと同時に、風水害等の自然災害に強い不動産の開発を進めています。
また、開発後はビル管理会社やテナント様と協働し、運用面からも省エネルギーに取り組んでいます。

  • GHG(Green House Gas):温室効果ガス。温室効果のある各種気体の総称

指標と実績

東京建物の事業活動において、最もエネルギーを使用するのはオフィス(商業)ビルを運営管理しているビル事業であり、エネルギー使用割合は、東京建物の93.9%を占めています(省エネ法に基づく試算)。そのため、ビル事業におけるエネルギー使用量を削減することが、東京建物全体のエネルギー使用量削減、温室効果ガス排出削減に大きく寄与します。
エネルギー使用量の削減にあたっては、床面積による原単位を指標とし、省エネ法に基づく5年間の移動平均で毎年1%の原単位削減を目標としています(GHG排出量の原単位についてもこれに準ずる)。
2018年度は、既存のオフィスビルにおいて、高効率の空調機器およびLED照明器具を積極的に導入するなど、エネルギー使用量の削減に取り組みましたが、エネルギー負荷の高い商業施設およびホテルの開業などの影響がこれを上回り、エネルギー使用量・原単位ともに増加する結果となりました。

●集計期間
  • 各年度の4月から翌年3月まで
●集計範囲
  • 省エネ法届出対象施設
  • 報告対象となるビルの床面積は年ごとに変動します。
●集計対象
  • エネルギー使用量・原単位
  • GHG排出量・原単位

東京建物では、報告数値の信頼性を確保するため、2018年度の環境・社会データの一部について、ロイド レジスタークオリティ アシュアランス リミテッド(LRQA)による第三者保証を受けています。対象となるデータの種類および数値には*マークを付しています。第三者保証書はESGデータブックに掲載しています。

項目 単位 2014 2015 2016 2017 2018 2019 目標
エネルギー使用量(原油換算値) kl 19,185 22,822 21,592 22,083 23,895
原単位 kl/千m² 37.8 36.3 35.4 34.2 35.0 36.0
温室効果ガス(GHG)排出量 t-CO2 39,929 45,059 44,629 42,147 48,888
Scope 1 t-CO2 3,493 3,243 2,553 2,402 3,300
Scope 2 t-CO2 36,436 41,816 42,076 39,745 41,259
Scope 3 t-CO2 4,329
原単位(Scope 3を除く) t-CO2/千m² 78.6 71.6 73.1 65.3 65.2 75.1
報告対象床面積 千m² 508 629 611 645 683

ビル事業における気候変動への取組み

  • ZEBリーディング・オーナー登録制度に登録

    東京建物は2019年7月26日付けでZEBリーディング・オーナー登録制度に登録しました。
    東京建物グループは新築ビル開発において、省エネ技術を積極的に採用し、社会に評価される環境配慮型ビルづくりを行うことで、ZEB普及促進に貢献することを目指します。

    ※ZEB(ゼブ)とは、先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用や、高効率な設備システムの導入等により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物のこと

TOPICSHareza Tower においてZEB Ready を取得

2020年5月竣工予定の超高層複合用途ビルHareza Towerでは、LED 照明や明るさセンサー・人感センサー制御、高効率型空冷ヒートポンプパッケージの採用など汎用性が高い設備システムの導入に加え、事務所専用部における照明照度500lx 器具の選定など適正な設計条件の検討等を行うことで、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の建築物全体評価(※1)にて最高ランクである星5つ、事務所用途の部分評価(※1)では「ZEB Ready」(※2)認証を取得しました。なお、本件は超高層複合用途ビル(※3)において「ZEB Ready」認証取得の第一号案件(※4)となります。

※1:エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)Ver.2.7.1(通称WEBPRO)を使用
※2:再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減した建築物
※3:建物高さ150m 以上
※4:一般社団法人住宅性能評価・表示協会のホームページ、BELS 事例データ一覧による(2019 年6 月末時点)

「Hareza Tower」完成予想図

その他の取り組み実績

東京建物の保有・管理するオフィスビルにおいて、2018年に実施した温室効果ガスの排出削減に関する取組み実績は以下のとおりです。

  • 以下2018年の実績件数は1月~12月

【省エネ設備機器採用・更新による取組み】

  • 高効率空調機への更新:3件
  • 専用部照明のLED化:16件
  • 共用部照明のLED化:20件
  • セキュリティと連動した空調・照明OFF機能の導入:5件

【運用方法の改善による取組み】

  • 共用部空調温度管理の徹底:26件
  • BEMS導入事業所でのBEMS活用:6件
  • 設計性能を最大に発揮する管理を実現するための情報共有:1件
  • 外部機関によるエネルギー診断の実施:1件
  • バックヤード照明の消灯・間引き

【テナント様との協働による取組み(既存物件)】

  • 節電案内パンフレットの配布
  • 夏季・冬季の節電:34件
  • 総量削減制度対象事業所で省エネ推進協議会を年1回開催:4件

【本社ビルでの省エネ】

  • 昼休みの照明消灯
  • クールビズの導入による夏季空調温度の緩和
  • LED照明の導入
  • タスク・アンビエント照明の導入
  • 常用照明の間引き点灯

2009年度実績分から、東京都環境確保条例に基づく「地球温暖化対策報告書」を提出しています。

TOPICS消費エネルギーの少ない暑さ対策

「東京スクエアガーデン」では、2018年7月に東京都が推進する「暑さ対策推進事業」の対象事業に認定された省エネルギー型の冷房システム等を設置・運用開始しました。微細なミストを噴霧する「涼霧システム」やガラス庇への遮熱性フィルムの設置、ベンチへの減熱性素材の追加設置など、消費エネルギーの少ない暑さ対策を行いました。

微細なミストで人やものを濡らすことなく周辺温度を3~5℃低下させる

住宅事業における気候変動への取組み

東京建物では、ZEHデベロッパー登録制度に2018年5月の初回登録時に登録し、今後はZEH-M(ゼッチ・マンション)にも積極的に取り組んでいきます。ZEH-Mの普及実現に向けた取組みを順次行い、2018年に経済産業省から発表されたZEHロードマップに基づく、ZEHの普及実現を目指します。

  • ZEH(ゼッチ)と呼び、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略とされる。断熱や省エネルギーなどのエネルギー消費低減と、発電によるエネルギー創出を総合して、年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)の収支をプラスマイナス「ゼロ」にする住宅のこと。ZEH-M(ゼッチ・マンション)はその集合住宅版

TOPICS東京建物初のZEH-M「Brillia 弦巻」

「Brillia 弦巻」は、外壁等の断熱性能の向上や高断熱サッシの採用、高効率給湯設備の採用などにより、「ZEH-MOriented※1」の基準を満たしています。これにより「Brillia 弦巻」は、経済産業省により2018年度から公募された集合住宅のZEH化促進への設計ガイドライン策定に向けた「高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業※2」に、東京都では唯一、採択されました。

  • ※1
    2018年5月に経済産業省から公表された、ZEHとして6階建て以上の高層集合住宅において目指すべき水準
  • ※2
    正式名称「平成30年度省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業)(ネット・ゼロエネルギーハウス支援事業)のうち高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」

「Brillia 弦巻」完成予想図

グリーン電力証書による再生可能エネルギーの利用

東京建物では、2016年5月から、Brilliaブランドのマンションモデルルームにおいて使用する電力を、グリーン電力証書の枠組みを利用して100%再生可能エネルギーに切り替えました。2018年は約83万kWhの電力に、グリーン電力証書を活用しました。

太陽光発電所による「創エネ」事業

ビル管理を行う東京不動産管理では、環境事業として、ビル管理の視点からの省エネルギー提案や、再生可能エネルギーの固定価格買取制度のスタートにあわせた太陽光発電所による「創エネ」事業に取り組んでいます。北関東地域を中心に太陽光発電所を展開しており、2018年12月末時点で8ケ所、計12,382kWの発電容量を有しています。

東京不動産管理が運営する太陽光発電所

気候変動問題に関する意識啓発

商業施設を運営するプライムプレイスでは、「SMARK(スマーク)伊勢崎」、「岸和田カンカンベイサイドモール」、「あびこショッピングプラザ」、「モレラ岐阜」4つの商業施設において、気候変動問題を身近に感じてもらうために「親と子の地球環境フェスティバル(一般財団法人新エネルギー財団主催)」を開催しました。
子どもやその保護者の方たちに、楽しみながら環境について学んでいただくため、3面マルチ映像ステージや工作・発電体験教室、企業取組み紹介、クイズラリー等を実施したところ、多くの方に参加していただくことができました。

「SMARK伊勢崎」でのクイズラリーの様子

レジリエントな不動産の開発

近年、気候変動等が原因とみられる大規模な風水害が増えています。東京建物グループでは、ビルや住宅の開発において、台風や水害、大地震等、さまざまな災害の発生を想定し、災害に対応した設計や設備を採用しています。
2015年2月に竣工した「東京建物日本橋ビル」では、以下の取組みを行っています。

  • 免震構造(地下1階柱頭免震)の採用
  • 72時間運転可能な非常用発電機の設置
  • ゲリラ豪雨や荒川決壊に対する浸水対策として、浸水想定以上の防潮板の設置
  • ビルの中枢機能である防災センターを2階に設置
  • 変電設備・非常用発電機を屋上に設置(万が一のビル浸水時にも電源供給が途絶えることなく、継続的な運営が可能)